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2006年02月18日

●ショスタコーヴィチ「交響曲第10番、交響曲第11番」

cover
久しぶりにショスタコーヴィチが聴きたくなって、CDを引っ張り出してきた。今は絶版になってしまったメロディアレーベル(旧ソ連唯一のレコード会社)で録音された、交響曲第10番と第11番のカップリングCDである。指揮はゲンナジー・ロジェストヴェンスキー、演奏はソビエト文化省交響楽団(USSR Ministry of Cultre Symphone Orchestra)である。録音は1983年から1987年にかけてで、旧ソヴィエト体制下での録音である。
僕が、交響曲第10番の演奏を初めて聴いたのは中学校2年生頃の頃だったと思う。SONYのHF-60というTYPEIのカセットテープの両面に録音して、S/N比の高い音のカーテンの奥をのぞくようにして演奏に耳を傾けたものである。録音場所はモスクワで、場所はかかかれていないから不明だが、録音スタジオの高いリバーヴが効果的に聞こえている。作曲は1953年で戦後8年目で、スターリン死去の年である。この曲は、交響曲第9番が当局より批判されたものに答えたものであったが、それでもやはり暗い雰囲気などが当局批判の対象になった。有名なDSCH音型が登場する曲でもある.DSCHとは、ドミトリー・ショスタコーヴィチの頭文字を撮った音型でバッハのBACH音型とにたようなもので、これでもか、これでもか、というぐらい、レ、嬰ミ、ド、シの音型が現れる。
個人的には第二楽章の疾走感がたまらないのだが、それ以外の楽章の沈鬱な表情も見逃せない。おそらくはショスタコーヴィチの数ある交響曲の中でも傑作と呼んでも差し支えはないであろう(あるいは、ショスタコーヴィチの交響曲に駄作はあるのだろうか?という疑問にも苛まれるのだが…)。

カップリングの交響曲第11番は「1905年」の血の日曜日事件を題材にした交響曲でこちらも傑作。絵画を見るかのような描写性とともに、解釈を許す抱擁性を持つ曲。

いずれにせよショスタコーヴィチを聴きたくなるような寒い朝に、このCDを聴くことができて小さな幸せを感じることができた。

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