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2004年06月24日

●チェリビダッケ/ブルックナー交響曲第7番ホ長調

cover

久しぶりにチェリビダッケを聴いた。なんと言うことだろう。この感動を3年以上も忘れていたとは。

この微妙な間の取り方はほんとうに絶妙だ。瞬間の休符が永遠の価値を持っているようにきこえる。これは武士が刀を抜いて身構えたその瞬間に違いない。これ以上長くてもだめ、短くてもだめ、というバランス感覚は、ほとんどアクロバティックな曲芸飛行に興じるエースパイロットのそれだ。この精神の世界をのぞいてしまったら、メリーゴーランドのようにぐるぐる素早く転回する演奏をどう思うだろうか・
そしてもう一つ。コントラバスのピッチカートのすばらしさ。ゆったりとしたテンポの一音一音に何かが宿っている。音と音のあいだに張りつめた糸の上を誰かがわたっているようだ。それも細かい釣り糸のような糸の上で。こういう緊張感は何というのだろう?こうした緊張感のなかで紡ぎ出されたグルーヴ感をクラシック音楽の語彙では何というのだろう。

ただ、チェリビダッケのもとで演奏をするのはつらそう。神を見た男が神を語ったとしても、我々はその言葉を信じることしかできない。だから、どんなに無理難題を言われようとも、それを信じてコミットしなければならない。

きっとチェリビダッケは神に愛された数少ない男の中の一人と言えるだろう。そしてその演奏をCDで聴くことのできる幸せは何にもかえがたい幸せだろう。これさえあればしばらく独りで暮らせるだろうし、それは幸せな引きこもり生活になるに違いない。決して実現することのない幸せだろうけれど。

2004年06月19日

●キッチン・ストーリー(2003)

cover

独身男性の台所での動線を調査する研究期間の調査員と調査対象の老人の友情物語。調査員と調査対象者は言葉を交わすことを禁じられるのだが、徐々にお互いに心を開き始める。


人生の最晩年にさしかかった老人はやはり年老いて病を得た馬と一緒に暮らしているだけ。一方の調査員は家族もなく、組織に忠実に意味合いも怪しげな調査に時間を捧げているだけ。孤独な老人と、組織に組み込まれた調査員の境遇は実はよく似ている。孤独であるという意味においても。

老人はノルウェー人で調査員はスウェーデン人。交わす言葉のなかにスウェーデンとノルウェーの微妙な緊張関係も読み取れる。ノルウェーやデンマークがドイツに占領されたのに対して、スウェーデンは永世中立国を保った。これには、北大西洋に面して長い海岸線を持つというノルウェーの戦略的価値があったからなのだが、ノルウェーにとっては伝説的なレジスタンスを組織してナチスドイツと戦ったという矜持があるから、傍観者のごとく中立を守ったスウェーデンに複雑な心境を持つのもやむを得ないだろう。もちろん、それは深刻なものではないはずで、両国のつながりは緊密なのだと思う。たとえば、スウェーデンのキルナ鉱山の鉄鉱石はノルウェーで船積みされるのだし、スカンジナビア航空は、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク三国共通の航空会社だったりする。かつてはEFTAで同盟した間柄でもある。

この映画、ふつうには二通りの受け止め方があるだろう。一つは「つまらない映画だ」という受け止め方。もう一つは「いい映画だったね」という受け止め方。ひとそれぞれ、何に重きを置いて生きているかに左右される。だから、隣に座っていたカップルは「おもしろくなかったでしょ」と言っていたのだし、前の方からはすすり泣く声が聞こえたのだろう。

監督ベント・ハーメル
脚本ベント・ハーメル
制作ベント・ハーメル
音楽ハンス・マティーセン
出演ヨハキム・カルメイヤー
トーマス・ノルストローム
レイネ・ブリノルフソン
ビョルン・フロベリー

2004年06月13日

●無題

天気予報どおり夕方になって天気が回復する。晴れるとうれしいものだ。早速近所のコーヒーショップに向かう。
一番日当たりの良い席に座って本を読むのが気持ちいいのだが、残念ながら当該の席は埋まっていた。仕方がなく隣の席にてしばらく読書。あ、席が空いたと思ったら、次のお客さんがきてしまう。着物を着た品のいいお婆さん。案の定日差しを気にする様子。お婆さんに声をかけて席を替えて貰う。「窓際族ね」と言われながらも、いくらか感謝される。窓際族は窓際族で心地よいのに…。ホフマンスタールの「ギリシアの瞬間」を読んでいたのだが、強い夏の日差しがギリシアの日差しに感じられた。この季節の透明な太陽の光が天の恵みに感じられる。来週末の天候はどうだろうか…?

2004年06月12日

●Internet Explorer で画像がビットマップ (.bmp ファイル) として保存される

http://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;ja;810978

希に発生するので、注意が必要。

Internet Explorer で画像がビットマップ (.bmp ファイル) として保存される
文書番号 : 810978
最終更新日 : 2004年9月7日
リビジョン : 1.0

概要
Microsoft Internet Explorer で画像を保存すると、デフォルトでその画像がビットマップ (.bmp) として保存されることがあります。.bmp 以外の拡張子を使用して画像を保存するオプションが表示されないことがあります。その画像で .gif または .jpeg などのビットマップ以外の形式が使用されている場合でもこの現象が発生します。

たとえば、Web ページ上の画像を右クリックし、[名前を付けて画像を保存] をクリックすると、[ファイル名] ボックスにはファイル名として [無題] が表示され、[ファイルの種類] ボックスにはファイルの種類として [ビットマップ (*.bmp)] が表示されます。
原因
この現象は、破損しているプログラム ファイル (たとえば、ActiveX または Java のオブジェクト) がハード ディスクの SystemRoot\Downloaded Program Files フォルダにダウンロードされている場合に発生することがあります。
解決方法
この現象のトラブルシューティングと問題の解決を行うには、Temporary Internet Files フォルダを空にして、Downloaded Program Files フォルダ内の [不明] または [壊れています] と表示されるファイルを削除します。これを行うには、以下の手順を実行します。 1. Internet Explorer を起動していない場合は、起動します。
2. Temporary Internet Files フォルダを空にします。これを行うには、以下の手順を実行します。 a. [ツール] メニューの [インターネット オプション] をクリックします。
b. [全般] タブをクリックします。
c. [インターネット一時ファイル] の下の [ファイルの削除] をクリックします。
d. Temporary Internet Files フォルダのすべてのファイルを削除するかどうかを確認するメッセージが表示されたら [OK] をクリックします。

3. ハード ディスクの Downloaded Program Files フォルダで、[不明] または [壊れています] と表示されているファイルを削除します。これを行うには、以下の手順を実行します。 a. [ツール] メニューの [インターネット オプション] をクリックします。
b. [全般] タブをクリックします。
c. [インターネット一時ファイル] の下の [設定] をクリックします。
d. [オブジェクトの表示] をクリックします。

ハード ディスクの SystemRoot\Downloaded Program Files フォルダにダウンロードされているプログラム ファイルの一覧が [Downloaded Program Files] ウィンドウに表示されます。
e. [状態] 列に [不明] または [壊れています] と表示されているファイルを確認します。それらのファイルを削除します。削除するには、ファイルを右クリックし、[削除] をクリックします。
f. 削除するかどうかを確認するメッセージが表示されたら、[はい] をクリックします。
g. [Downloaded Program Files] ウィンドウを閉じ、[OK] を 2 回クリックします。

4. Internet Explorer で画像を保存して、問題が解決されているかどうかを確認します。

[不明] または [壊れています] と表示されるダウンロードされたプログラム ファイルをすべて削除した後も引き続き問題が発生する場合は、一覧に表示されるその他のダウンロードされたプログラム ファイルを削除します。

注 : [Downloaded Program Files] フォルダから削除したファイルのいずれかが必要になった場合、Internet Explorer でハード ディスクにファイルをダウンロードするかどうかを確認するメッセージが表示されます。

http://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;ja;810978

2004年06月10日

●ホフマンスタール「チャンドス卿の手紙」

ホフマンスタール「チャンドス卿の手紙」
Hugo von Hofmannsthal(1874-1929)

「チャンドス卿の手紙」を読む。天才の名を欲しいままにしたホフマンスタールは詩作においてその非凡な才能を発揮していたのだが、この「チャンドス卿の手紙」を執筆した後は、詩作から散文や劇作へと展開していく(※1)。
この架空書簡小説は、言語表現の限界を,


ある話題をじっくり話すことが、そしてそのさい、だれもがいつもためらうことなくすらすらと口にする言葉を使うことが、しだいにできなくなりました。(中略)ある判断を表明するためにはいずれ口にせざるをえない抽象的な言葉が、腐れ茸のように口の中で崩れてしまうせいでした。

ホフマンスタール『チャンドス卿の手紙』檜山哲彦訳 岩波文庫 1991、109ページ

と表現している。

こうした、言語表現の不確実性といったテーマより、もっと興味を引くのが以下の部分である。

こうした瞬間には、とるにたらない被造物、犬とか鼠、甲虫、いじけた林檎の木、丘の上の曲りくねった馬車道、苔むした岩などが、生涯最良の夜に身も心も捧げてくれるこのうえなく美しい恋人以上のものに思えてきます。これら物言わぬ、ときには命ももたぬ被造物が、みちたりた愛の姿で立ちあらわれてくるので、その幸に恵まれた私の眼も周囲のいたるところに生命を見いだすのです。

道端の些細な事物に幸福感を見出すとは。科学技術の発達は、事物の数量化を推し進めたわけで、哲学や文学も科学的方法論隷下へとらわれようとしてた頃のこと(※2)。こうした方向性に対する危惧がこのチャンドス卿の手紙を書かせたのではないか。

詩作という研ぎ澄まされた概念的な方法(これにも異論があるかもしれないが)から、劇作や散文への方向転換は、辻邦生が言うように(※3)、「道端の些細な事物を見たときの幸福感」を再現するために物語という方法・枠組みを使うようになった、ということなのかもしれない。

※1、2(檜山哲彦『ホフマンスタール 人間存在の謎』「週刊朝日百科世界の文学68」2000年による。)

※3辻邦生『小説家への道』「詩と永遠」岩波書店、1982
たとえば「私たちが強烈な「情緒=観念」にみたされ、それを伝達しようと緊張するとき、そのエネルギーを汲み上げて緊張を緩和し解消に導いて行くのが、この物語という伝達形式である、ということになります。」といった文脈において。

2004年06月08日

●ある生涯の七つの場所一覧表更新

本日は、昨日作成した一覧表のリファインを行った。

2004年06月07日

●辻邦生 ある生涯の七つの場所 一覧表

辻邦生 ある生涯の七つの場所(百の短篇一覧表)

2004/6/8現在

当リストは、中公文庫版「ある生涯の七つの場所」によるものである。

変更履歴
  • 短篇順序を変更(2004/06/08)
  • 誤っていた短篇名を変更(2004/06/08)
sq短篇集名色名色番号短篇名
1霧の聖マリ-プロローグ
2黄いろい場所からの挿話I亡命者たち
3赤い場所からの挿話I雪の前 雪のあと
4黄いろい場所からの挿話II女たちの館
5赤い場所からの挿話II落葉のなか
6黄いろい場所からの挿話III霧の聖マリ
7赤い場所からの挿話III北海のほとり
8黄いろい場所からの挿話IVロザリーという女
9赤い場所からの挿話IV坂の下の家
10黄いろい場所からの挿話V鉄橋
11赤い場所からの挿話V帰ってきた人
12黄いろい場所からの挿話VI燕のくる町
13赤い場所からの挿話VI海のむこうからの手紙
14黄いろい場所からの挿話VII暮れ方の光景
15赤い場所からの挿話VII風雪
16夏の海の色黄いろい場所からの挿話VIII
17赤い場所からの挿話VIII河口風景
18黄いろい場所からの挿話IX夜の歩み
19赤い場所からの挿話IX夏の海の色
20黄いろい場所からの挿話X凍った日々
21赤い場所からの挿話X水の上の顔
22黄いろい場所からの挿話XI古い日時計
23赤い場所からの挿話XI祭の果て
24黄いろい場所からの挿話XII海峡
25赤い場所からの挿話XII彩られた雲
26黄いろい場所からの挿話XIII吹雪
27赤い場所からの挿話XIII月の舞い
28黄いろい場所からの挿話XIVル・アーヴル 午後五時三十分
29赤い場所からの挿話XIV雷鳴の聞える午後
30雪崩のくる日緑いろの場所からの挿話Iドーヴァの眺め
31橙いろの場所からの挿話I夜の鐘
32緑いろの場所からの挿話II麦畑を超えて
33橙いろの場所からの挿話II高原の町から
34緑いろの場所からの挿話III野の道
35橙いろの場所からの挿話III北風のなかの火見櫓
36緑いろの場所からの挿話IV黒い石だたみ
37橙いろの場所からの挿話IV山峡へ
38緑いろの場所からの挿話Vある壊滅
39橙いろの場所からの挿話V秋の別れ
40緑いろの場所からの挿話VI夜明け前の庭
41橙いろの場所からの挿話VI雪崩のくる日
42緑いろの場所からの挿話VII教授たちの夜
43橙いろの場所からの挿話VII落日のなかで
44人形クリニック緑いろの場所からの挿話VIII人形クリニック
45橙いろの場所からの挿話VIII聖路加病院まで
46緑いろの場所からの挿話IX森の歌
47橙いろの場所からの挿話IX城の秋
48緑いろの場所からの挿話Xマイヤーホーフの春秋
49橙いろの場所からの挿話X青い葡萄
50緑いろの場所からの挿話XIコルヌアーユの恋人たち
51橙いろの場所からの挿話XI月曜日の記憶
52緑いろの場所からの挿話XII海辺の城
53橙いろの場所からの挿話XII薄明の時
54緑いろの場所からの挿話XIIIオルフェウスの娘たち
55橙いろの場所からの挿話XIII夜の入口
56緑いろの場所からの挿話XIV地の果て
57橙いろの場所からの挿話XIV春の潮
58国境の白い山青い場所からの挿話I舷燈の下で
59藍いろの場所からの挿話I雨季の終り
60青い場所からの挿話IIG号埠頭にて
61藍いろの場所からの挿話II勝利の女神の翼の部分
62青い場所からの挿話III湖畔の焚火
63藍いろの場所からの挿話III国境の白い山
64青い場所からの挿話IVワシントン街517
65藍いろの場所からの挿話IV燕の飛び立つ日
66青い場所からの挿話V巷の底で
67藍いろの場所からの挿話V旅人たちの夜の歌
68青い場所からの挿話VI夜警の眠り
69藍いろの場所からの挿話VI野の喪章
70青い場所からの挿話VII天国へのぼる梯子
71藍いろの場所からの挿話VII鳥たちの横切る空
72椎の木のほとり青い場所からの挿話VIII黒人霊歌
73藍いろの場所からの挿話VIII聖堂まで
74青い場所からの挿話IX霙の街から
75藍いろの場所からの挿話IX雨の逃亡者
76青い場所からの挿話X夜が終るとき
77藍いろの場所からの挿話X黄いろい海
78青い場所からの挿話XIパリの空 今日も晴れて
79藍いろの場所からの挿話XI静かな村外れの十字架の前で
80青い場所からの挿話XII青葉の時間
81藍いろの場所からの挿話XIIエトルタ七夜
82青い場所からの挿話XIII椎の木のほとり
83藍いろの場所からの挿話XIII薔薇の睡り
84青い場所からの挿話XIV赤い扇
85藍いろの場所からの挿話XIV踊るシヴァ
86神々の愛でし海菫いろの場所からの挿話I新世界から
87菫いろの場所からの挿話II雪の道
88菫いろの場所からの挿話III愛の亡霊
89菫いろの場所からの挿話IV運河の眺め
90菫いろの場所からの挿話V二人だけの秋
91菫いろの場所からの挿話VI聖女バルバラ祭の夜に
92菫いろの場所からの挿話VII海の夫人
93菫いろの場所からの挿話VIII長い旅の終り
94菫いろの場所からの挿話IXソーヌ河のほとり
95菫いろの場所からの挿話X神々の愛でし海
96菫いろの場所からの挿話XIジュラの夜明けに
97菫いろの場所からの挿話XII潮騒を聞いた日々
98菫いろの場所からの挿話XIIIアダムとイヴのバラード
99菫いろの場所からの挿話XIV桜の国へ そして桜の国から
100-エピローグ