Sponsored Link

2003年08月27日

●永井路子「姫の戦国」/「美貌の女帝」

cover cover

「姫の戦国」は、中御門家から今川家へと輿入れした寿桂尼の半生を描く。桶狭間で今川義元が討ち取られることで、常に悪者として描かれてきた今川家であるが、実はきわめて先進的な領国経営を行っていたことがわかる。織田、豊臣の天下にあっては、徳川家康も今川の影響をおおっぴらに語ることは出来なかったにもかかわらず、隠居地を駿府に選んだあたり、実のところは今川家が徳川に与えた影響たるや計り知れないものがあるのだろう。今川の歴史というもの自体、あまり多く知らないところであったということもあって、実に興味深い。

一方「美貌の女帝」にいたっては、元明天皇と元正天皇の時代を描いている。蘇我氏の没落と、藤原氏の勃興の時代にあって、その狭間に揺れる元正天皇の姿を描く。白鳳から奈良にかけての時代もそうそう詳しいというわけではない。新しい発見をいくつもするのだった。たとえば橘諸兄は、実は美努王という後続の息子であった(母親はなんと藤原不比等とも関係を持つのだが)、という事実。こんなことさっぱり知らなかった。前回「氷輪」を読んだときにも思ったが、奈良時代やそれ以前の時代については知っているようでほとんど知らない。そういうところ、多く知ることが出来てとても嬉しい。

2003年08月19日

●永井路子「北条政子」

昨日から永井路子「北条政子」を読む。北条政子の視点で見る鎌倉幕府成立史はなかなか面白い。源実朝と公暁の関係など興味深い。実はその後の承久の乱に興味があったのだが、そこまでは言及されていなかったし、北条氏が権力を完全掌握する過程をみるには少々中途半端であった。もっと続きを読みたかったのだが…。明日からは「姫の戦国」、すなわち今川氏の興亡を見ていくことになるだろう。永井路子は、豊臣秀吉や徳川家康といったメジャーどころではない部分にスポットを当てている。
しかし、もう歴史文学は相当縄張りができているから、後続の人間にとっては辛いところだろうな…。これはどの分野でもいえるのだが。なかなか新しい分野というのはここまで文化が爛熟してしまうとなかなか見つけられないものだ。そのなかから新しいものを見つけるのが「プロ」なのだろうけれどもね。