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2006年07月01日

●グールド/シューマン「ピアノ四重奏曲」




シューマンといえば、いろいろ思い出があるのだが、やはりこの曲を挙げたいのである。ピアノ四重奏曲変ホ長調である。本当は交響曲第一番「春」のサヴァリッシュ盤なども挙げたいところではあったが、ピアノ四重奏曲を挙げたいのである。まずは楽曲としての清廉さ。19世紀の素直なドイツ的情感が良く出ている。第3楽章導入部のチェロの旋律の美しさといったら言うことがない。そして最終楽章の高揚しながら終盤へと突き進む場面。ほとんどヘーゲル的アウフヘーベンの世界なのだが、そこには政治的宗教的な抹香臭さはまったくなく、清純な青春賛歌とでも言うべき開放感と明朗感に満ち溢れている。この曲を聴くたびに幸福感に満ち溢れるのはそのためなのである。それは、まるで現世の泥悪な状況を一瞬でも忘れさせてくれるものなのであり、それこそがいわゆる芸術のひとつの使命なのであり効用なのである。もちろん「春」にもそのような明朗さや快活さを感じ取ることはできるのだが、あえて、ピアノ四重奏という室内楽を選ばざるを得なかったのは、僕の個人的な体験による。それは7年ほど前にベルリンフィルのメンバーがこの曲を演奏するのに接したからである。一度聴いてあまりに感動したので、二度三度と追っかけをしたものであった。したがって、今回はこのピアノ四重奏曲を挙げさせていただく。