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2005年02月25日

●チェリビダッケ/ブルックナー交響曲第7番ホ長調

cover

本当に完成度の高い演奏。このゆっくりとしたテンポには賛否両論があるかも知れないが、僕は両手を挙げて賛成したいと思っているのである。

楽曲に応じたテンポを設定することはきわめて難しい。テンポが楽曲に与える意味が変わってくると言うこともさることながら、テンポに応じた演奏者の技量を考慮しなければならないからである。テンポが速ければ速いほど求められる技量が高くなるのはもちろんであるが、逆に遅ければ遅いほど求められる技量も高くなるのである。端的なことを言えば、管楽器奏者や声楽者は、テンポが遅ければ、それだけ大きな肺活量や循環呼吸といった技術を要求される。しかも音楽的レベルを保持した上で、である。

テンポが遅いということを旨とした上で、この楽曲を演奏する上で、その遅さが成功しているかどうか、であるが、その点について僕は異論を見つけることはできないでいる。チェリビダッケの演奏で僕が注目したいのはグルーヴ感とでもいうものなのだが、このテンポにおいて、そのグルーヴ感が実にくっきりと鮮やかに浮かび上がっているのを感じるのである。特に低弦部のピッチカートにそのグルーヴ感を感じることができるのである。これは、好きな作家の一つ一つの文言を楽しむといったたぐいの、好事家的楽しみと言われてしまうかも知れない。それでも、この楽しみを知ることも音楽を楽しむことの一つに数えてあげても許されると思うのである。

グルーヴ感云々ということを書いたが、もちろんそれだけでこの演奏を評価するつもりはない。テンポの遅さといったが、全般にわたってテンポが遅いわけでもない。テンポは実によく変化する。ある種の絵画作品において、光の当たり方によってその印象が変わるように。

ブルックナーとチェリビダッケの幸福な邂逅によって産み出された高い芸術は、他のブルックナー作品の録音によっても感じ取ることができるだろう。そしてそうした録音が残された幸運を感謝しなければならないだろう。

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