●バイエルン州立バレエ「眠りの森の美女」
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STAATSBALLETの「眠りの森の美女」を見に行く。なんでもオペラよりもバレエのほうが来ている客層が高いのではないか、という情報をゲットしていたので、少々ドキドキしながら向かう。この日は雪が降っていたので大変。連れ合いは靴にたいそう困っている。つまり、雪が降っている中でしゃれっぽいサンダルを履くわけにはいかない、というのだ。当然といえば当然。ほとんど素足で雪中に立つわけにもいくまい。
クラシック・バレエを見るのは初めてだったのだが、これは思ったよりもすばらしい。これまで食わず嫌いをしていたわけだが自らの不明を恥じるばかり。バレエというのはオペラ以上にダンサーの動きや衣装といった視覚的表現が重要であるわけで、オペラとは違う美的な空間が立ち上がっている。特にしなやかな手の動きは、彫刻や絵画は勿論音楽や文学が表現し得ない人間性の表現である。人間が体を動かして直接的に美を表現しているということ自体に驚きを覚える。
極めつけは、ワルツのシーンで、ここまでの美的空間を作り上げる事ができるのか、と、人間の力の大きさを改めて感じる。もちろんこの美的空間の裏には人間のエゴや嫉妬心も隠されているはずなのだが、そうしたものを露も見せずに美的空間が顕わになっていることへの驚きである。美的空間は確かにここに拡がっている。少なくとも「私」にとってはそれは揺るぎない真実であって、その奇跡的な事態に感謝の念すら覚えるわけである。その裏に隠されているエゴや嫉妬心、あるいはたとえ犯罪が隠されていたとしても、それとは全く関係なく美は存立している。残念ながら。エゴや嫉妬心、あるいは犯罪でさえも括弧に入れてしまう力を美は持っているということ。美はほとんど無限な力をもつことができるということ。逆にそうした美の力をきちんと理解しなければならないということ。
さて、舞台が終わり、ロビーに出ると、ドイツのおばさま達がロビーのソファに座って、なにやらゴソゴソとやっている。ああ、靴を履き替えているのだ、と気が付く。みなサンダルからブーツに履き替えているわけだ。なんだ、みな考えることは同じだなあ、という感じ。