●新国立劇場「ラ・ボエーム」
ボエームは三回目。新国立劇場では昨年の4月に同じ演出を見ています。今回は同じ演出を二度目でみることになります。三回ぐらいみるとさすがにいろいろと見えてくるようになりました。
(参考にカラヤン=パヴァロッティ=フレーニ盤の画像を載せています)
ソプラノのニテスクは低い倍音が豊かに鳴っていて深みのあるいい声です。ギアチェンジの多い指揮にもしっかり反応しています。その真価は演技にも発揮されていました。第1幕の出会いのシーンから仕草や表情にただならないものを感じます。そして第4幕のミミの死の場面においてはまさに鬼気迫る演技。病で弱りきったやつれた表情を作りだし、大きな目だけが目立っている感じです。そして臨終を目を開けたままむかえるとは。下手な女優はここまでできないでしょう。この方をみることができたのは本当に幸運でした。実は昔グラインドボーンでマノン・レスコーで歌った映像がNHKBSで放送されていたのですが、そのときはさしたる印象を持たなかったのですが、実際にみてみると違うものです。
演奏の方ですが、全体にゆっくりとしたなテンポで強めのアコーギグでメリハリをつけようとしているのはわかるのですが、かえって統一感が失われてしまったようにも感じました。ロドルフォ役のヴァレンティと井上道義はコミュニケーションがとれておらず残念。指揮者は総責任者としてアンサンブルをまとめてほしかったなあ、とおもいます。「その冷たい手を」は平行棒の上をふらふらと歩いているような感じで、少しハラハラしました。
ヴァレンティはピッチも安定していましたしルックスにも恵まれています。これからの人なので今後に期待だと思います。マルチェッロのフレデリクソンは、そつなくまとめた感じ。声の質は柔らかかったです。ムゼッタの水嶋は声もよくピッチも安定していましたが、昨年の中嶋彰子に比べると華がなかったような気もします。コッリーネのシャオリャン・リーはよかったですね。切れのある低音がじつによく効いていました。
| 名称(和) | ラ・ボエーム |
|---|---|
| 名称(欧) | La Boheme |
| 幕形式 | 4幕 |
| 作曲年 | 1892-1895 |
| 台本 | H・ミルジェールの小説『ボヘミアンの生活情景』により、G・ジャコーザとL・イリッカ |
| 初演 | 1896 トリノ |
| sq | 配役 | 種類 | 名前 |
|---|---|---|---|
| 1 | 指揮 | - | 井上道義 |
| 2 | 演出 | - | 粟國淳 |
| 3 | 演奏 | - | 東京フィルハーモニー管弦楽団 |
| 4 | ミミ | ソプラノ | アンディーネ・ニテスク |
| 5 | ロドルフォ | テノール | ジェイムズ・ヴァレンティ |
| 6 | マルチェッロ | バリトン | カール=マグヌス・フレデリクソン |
| 7 | ムゼッタ | ソプラノ | 水嶋育 |
| 8 | ショナール | バリトン | 河野克典 |
| 9 | コッリーネ | バス | シャオリャン・リー |
