●新国立劇場「カヴァレリア・ルスティカーナ」・「道化師」
久々の新国立劇場です。今シーズンの最初のプログラムは「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「道化師」です。ヴェリズモオペラの代表格のこの二つのオペラをカップリングで楽しめるとはなかなかいい機会に恵まれたものです。
(映像は参考までに、ドミンゴ阪を2枚載せてみました。どちらもゼフィレッリ監督の映画版)
どちらも、愛憎劇といってもいいでしょう。愛情の世界という者はどうもこうもうまくいかないことが多いものですね。そしてそれをこうしてオペラの世界まで昇華させることができる二人の二人の作曲家は拍手ものでしょう。
残念ながら、マスカーニ(「カヴァレリア・ルスティカーナ」)もレオンカヴァレッロ(「道化師」)もこれ以外の作品をメジャーなかたちで後世に残すことができなかったのですが、後世に残すことのできたこの二つの作品は、残るだけあってさすがにひと味違う作品となっています。
愛憎というものは、あらゆる人の心の深いところに沈んでなかなか浮かび上がってくるものではありません。会社の上司であろうと部下であろうと、あるいは同僚の心の深いところに沈んでいるはずなのですが、実社会では、それはお目にかかることもないわけです。しかし、ちょうど空気の塊が水面へ向かうように、愛憎も浮力をもっていて、その姿をあらわにしようとするわけですが、僕たちは必死に底に沈めておこうとするわけです。そこに、ひずみが生じて、ストレスとなって体をむしばんだりするわけです。
この二つのオペラの登場人物たちは、この愛憎と呼ぶべき感情を奔放に爆発させています。この爆発が、情熱的な音楽と相まって、僕たちの心に生じているひずみに共振を生じさせるわけで、それが感動となって涙腺を弛ませるわけです。
「カヴァレリア・ルスティカーナ」のサントゥッツァを演じたエリザベッタ・フィロリッロの深い声質は、サントゥッツァのやるせない苦しみを表現するに十分なもの。力強い声量はフルオーケストラのそれに匹敵していました。トゥリッドゥを演じたアッティラ・B・キスも芯のあるしっかりした声質。美しい間奏曲も楽しめました。この曲は聖母マリアをたたえる歌だったんですね。
「道化師」のジュゼッペ・ジャコミーニ(http://www.grandi-tenori.com/tenors/giacomini.php)は最初はどうやらセーブしていたようなのですが、「衣装を着けろ」ですばらしい気合いを見せて、フィナーレでは会場の心臓をわしづかみにしました。実にすばらしかった。僕が新国立劇場に通い始めて2年ほどになりますが、ここまでのカーテンコールは初めてでしたし、それに見合うだけのものだったと思います。キャリアを見てみても確かにすごいものがありますね。圧倒的でした。
| 名称(和) | カヴァレリア・ルスティカーナ |
|---|---|
| 名称(欧) | Cavalleria Rusticana |
| 幕形式 | 1幕 |
| 作曲年 | 1889 |
| 台本 | G・ヴェルガの小説により、G・タルジョーニ=トッツェティとG・メナッシ |
| 初演 | 1890 ローマ |
| sq | 配役 | 種類 | 名前 |
|---|---|---|---|
| 1 | 指揮 | - | 阪哲朗 |
| 2 | 演出 | - | グリシャ・アサガロフ |
| 3 | 演奏 | - | 東京フィルハーモニー交響楽団 |
| 4 | サントゥッツァ | メゾソプラノ | エリザベッタ・フィオリッロ |
| 5 | トゥリッドゥ | テノール | アッティラ・B・キス |
| 6 | ローラ | メゾソプラノ | 坂本朱 |
| 7 | アルフィオ | バリトン | 青戸知 |
| 8 | ルチア | メゾソプラノ | 片桐仁美 |
| 名称(和) | 道化師 |
|---|---|
| 名称(欧) | I pagliacci |
| 幕形式 | プロローグと2幕 |
| 作曲年 | 1890-1892 |
| 台本 | カラブリア地方で起こった実話により作曲者自身 |
| 初演 | 1892 ミラノ |
| sq | 配役 | 種類 | 名前 |
|---|---|---|---|
| 1 | 指揮 | - | 阪哲朗 |
| 2 | 演出 | - | グリシャ・アサガロフ |
| 3 | 演奏 | - | 東京フィルハーモニー交響楽団 |
| 4 | カニオ | テノール | ジュゼッペ・ジャコミーニ |
| 5 | ペッペ | テノール | 吉田浩之 |
| 6 | ネッダ | ソプラノ | ジュリエット・ガルスティアン |
| 7 | シルヴィオ | バリトン | ルドルフ・ローゼン |
| 8 | トニオ | テノール | ゲオルグ・ティッヒ |

