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2004年06月24日

●チェリビダッケ/ブルックナー交響曲第7番ホ長調

cover

久しぶりにチェリビダッケを聴いた。なんと言うことだろう。この感動を3年以上も忘れていたとは。

この微妙な間の取り方はほんとうに絶妙だ。瞬間の休符が永遠の価値を持っているようにきこえる。これは武士が刀を抜いて身構えたその瞬間に違いない。これ以上長くてもだめ、短くてもだめ、というバランス感覚は、ほとんどアクロバティックな曲芸飛行に興じるエースパイロットのそれだ。この精神の世界をのぞいてしまったら、メリーゴーランドのようにぐるぐる素早く転回する演奏をどう思うだろうか・
そしてもう一つ。コントラバスのピッチカートのすばらしさ。ゆったりとしたテンポの一音一音に何かが宿っている。音と音のあいだに張りつめた糸の上を誰かがわたっているようだ。それも細かい釣り糸のような糸の上で。こういう緊張感は何というのだろう?こうした緊張感のなかで紡ぎ出されたグルーヴ感をクラシック音楽の語彙では何というのだろう。

ただ、チェリビダッケのもとで演奏をするのはつらそう。神を見た男が神を語ったとしても、我々はその言葉を信じることしかできない。だから、どんなに無理難題を言われようとも、それを信じてコミットしなければならない。

きっとチェリビダッケは神に愛された数少ない男の中の一人と言えるだろう。そしてその演奏をCDで聴くことのできる幸せは何にもかえがたい幸せだろう。これさえあればしばらく独りで暮らせるだろうし、それは幸せな引きこもり生活になるに違いない。決して実現することのない幸せだろうけれど。

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