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2004年06月19日

●キッチン・ストーリー(2003)

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独身男性の台所での動線を調査する研究期間の調査員と調査対象の老人の友情物語。調査員と調査対象者は言葉を交わすことを禁じられるのだが、徐々にお互いに心を開き始める。


人生の最晩年にさしかかった老人はやはり年老いて病を得た馬と一緒に暮らしているだけ。一方の調査員は家族もなく、組織に忠実に意味合いも怪しげな調査に時間を捧げているだけ。孤独な老人と、組織に組み込まれた調査員の境遇は実はよく似ている。孤独であるという意味においても。

老人はノルウェー人で調査員はスウェーデン人。交わす言葉のなかにスウェーデンとノルウェーの微妙な緊張関係も読み取れる。ノルウェーやデンマークがドイツに占領されたのに対して、スウェーデンは永世中立国を保った。これには、北大西洋に面して長い海岸線を持つというノルウェーの戦略的価値があったからなのだが、ノルウェーにとっては伝説的なレジスタンスを組織してナチスドイツと戦ったという矜持があるから、傍観者のごとく中立を守ったスウェーデンに複雑な心境を持つのもやむを得ないだろう。もちろん、それは深刻なものではないはずで、両国のつながりは緊密なのだと思う。たとえば、スウェーデンのキルナ鉱山の鉄鉱石はノルウェーで船積みされるのだし、スカンジナビア航空は、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク三国共通の航空会社だったりする。かつてはEFTAで同盟した間柄でもある。

この映画、ふつうには二通りの受け止め方があるだろう。一つは「つまらない映画だ」という受け止め方。もう一つは「いい映画だったね」という受け止め方。ひとそれぞれ、何に重きを置いて生きているかに左右される。だから、隣に座っていたカップルは「おもしろくなかったでしょ」と言っていたのだし、前の方からはすすり泣く声が聞こえたのだろう。

監督ベント・ハーメル
脚本ベント・ハーメル
制作ベント・ハーメル
音楽ハンス・マティーセン
出演ヨハキム・カルメイヤー
トーマス・ノルストローム
レイネ・ブリノルフソン
ビョルン・フロベリー

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