
平凡な女性の非凡なる人生。戦前から戦後のソヴィエトを生きたソーネチカの生涯を描く中編。夫は反体制芸術家。早熟な娘と友人の美人孤児。まるで恩寵を待ち続けて静かに息を引き取る敬虔な宗教家のような生き様で、無我の境地といっても過言ではない。希望は捨てないが欲望は捨てて、ただひたすら夫と子供(達)の幸せを祈るソーネチカの姿は神々しささえ感じる。そして、やはりソーネチカはユダヤ人なのだ。ありそうもないエピローグなどどうでもいい。ソーネチカのように生きられないこともわかっている。だが、こうした人生もあってもいい、いや、あって欲しいのだ。