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2004年05月05日

●アルフォンス・ミュシャ「スラブ叙事詩」

もう10年近く前になることだろうか。新宿の駅ビルのイベントホールで「アルフォンス・ミュシャ展」なるものがあるというので、どれどれ、と連れと見に行ってみる。どうということはない。結局はとある会社による宣伝頒布会的なもの。セールスマンが付いて高価な版画刷りを売りさばくのを横目に、早々に会場を後にした。あまりにメジャーで、もうほとんどポップな画家とも思えるミュシャの絵画。嫌いではないが、あのイベントホールの光景を目の当たりにして、少々興ざめした感じだった。ミュシャは死後50年が経過していて、そろりと著作権が切れる頃。そういう関係もあるのだろうなあ、と思うと、ほんとうに複雑な気分だった。

5月1日のテレビ東京「美の巨人たち」では、このミュシャの「スラブ叙事詩」が取り上げられる。これはすごい絵だ、と思った。ちまたで取り上げられるポスター類の美しさももちろんでそれを否定するものではないが、この「スラブ叙事詩」の力強さを見るにつけて、ミュシャの本質はこちらなのだ、と思うのだ。作成されたのは1910年代から20年代にかけてというから、もうこういった象徴主義的な絵画は時代遅れなのだろう(とはいっても、ほんの数十年前の思潮だと思うのだが)。だが、そんなことは取り立ててどうでもよい。もはや古典となっているのだから、時代遅れとか、どうとかというのは関係はない。スラブ民族の神話、歴史を取り上げる巨大な20枚の絵画。この物量的な迫力だけでも芸術としての価値は高まる一方だと思う。

完成後は、プラハ市に寄贈されたのだそうだが、展示場所がなく倉庫へ。そしてナチス侵攻、社会主義政権の樹立と不遇の時代が続き、一般展示されるようになったのはつい最近のことだそうだ。ナチス侵攻前に倉庫行きになっていたからこそ、今まで生き残ることができたのかもしれない、と思うと、人生万事塞翁が馬、と思うのだった。

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