●リヒャルト・シュトラウス「サロメ」
実際に見に行ったオペラほど理解が深まるものはない。先週まで予習として聞いていたときのサロメと、今週になって復習として聞いているサロメはまるで別物だ。物語や映像と音楽が合致するのを体験したときから、音楽は新たな意味をもって立ち上がってくる。
たとえば、ヘロデがサロメに甘い声をかけるシーン。CDでこのシーンを聞くたびに、ハインツ・ツェドニクの歌声が思い出される。少し崩した感じで、ヘロデ王の俗っぽいところをうまく表現した歌声を。あるいは、サロメがヨハナーンの首を欲するメロディーは、7つのベールの踊りの冒頭過ぎのファンファーレの中に現れているのがよくわかる。まるで、サロメの踊る目的を表すように。
あんなによくわからなかった5人のユダヤ人の論争場面も、緊迫感があって格好がいいし、サロメがキスしたい、という旋律がどんどん変奏されていくあたりなんて、もうゾクゾクする。
